中性脂肪とはそもそも何なのか?皮下脂肪と内臓脂肪との違いは?【医師監修】

中性脂肪とは

「中性脂肪値が高いですね、食生活から改善していきましょう」
そう言われても、中性脂肪とは何なのか知っていないと、なかなかこの言葉が理解できなかったりします。

病院での健康診断

「中性脂肪って何なの?」
「なぜ食生活からなの?」
そんな疑問があると、改善する気も起こりません。

これは筆者の私のことでもあります。
私は健康診断で医師に「中性脂肪が高いですね」と言われたのですが、最初は「改善しなきゃいけないの?」と思っていたんです。

血液検査の結果

そんな私も結婚してから「やっぱり生活改善しなきゃいけない」と思うようになりました。
しかし、中性脂肪とは何なのかを調べてみたのですが、どれもパッとしません。
あれこれ書いてあるの情報は沢山あるのですが「明確な答え」がなかったのです。

そこで、現役内科医に監修していただき、
「中性脂肪について正しく知ることができるページをつくろう」
という想いで作成したのがこのページです。

正しく知ると、中性脂肪を「減らす・下げる方法」について「理論を根拠に」行動できるようになります。

後半部分では、「中性脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪の違い」「下げる・減らす方法」についても紹介していきますので、長くなりましたがぜひ最後までお付き合いください。

中性脂肪とは何なのかを正しく知ろう

中性脂肪とは何なのか

まずは「中性脂肪とは何なのか?」ということです。

これについては、「人間のエネルギーとなる物質」と言われていたり、「皮下脂肪が中性脂肪だ」と言われることもあります。

しかし、それらを聞いてもぱっとせず、
「結局、皮下脂肪との違いは何なの?」
「内臓脂肪とはどう違うの?」
そんな疑問が生まれてきます。

また、どの情報を見ても、「言っていることが違う」ので、何が正しくて何が間違っているのかが分かりません

そこで、まずは「中性脂肪」の理解と、「皮下脂肪と内臓脂肪との違い」について詳しく見ていきましょう。


  1. 中性脂肪とはグリセリン脂肪酸エステルのことです
  2. 中性脂肪=グリセリン脂肪酸エステル=トリグリセリド=?
  3. 中性脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪との違いとは?

中性脂肪とはグリセリン脂肪酸エステルのことです

中性脂肪は「脂肪酸」の1種である「グリセリン脂肪酸エステル」のことです。

脂肪酸は「油」「脂質」といった、脂肪になりやすい原料のほぼすべてのことを指します。
私たちは、その脂肪になりやすい原料のうち「グリセリン脂肪酸エステル」のことを中性脂肪と呼んでいます

しかし、血液検査を受けると、中性脂肪は「TG(トリグリセリド)」と表記されますよね。
グリセリン脂肪酸エステルとは表記されません。
これは何故なのでしょうか?

まず、トリグリセリドは「グリセリン脂肪酸エステル」のうちの1つです。
次に、「グリセリン脂肪酸エステル」には、「モノグリセリド」「ジグリセリド」「トリグリセリド」という3つの物質があります。
最後に、血液中のほとんどは「トリグリセリド」です。

つまり血液検査の結果では、血液中の脂肪酸エステルのほとんどを占めるのがトリグリセリドであるため、「中性脂肪(TG)」と表記されるんです。

ですので、中性脂肪=トリグリセリド(グリセリン脂肪酸エステルの1種)と考えていただいても構いません。

中性脂肪=グリセリン脂肪酸エステル=トリグリセリド=?

つまり、中性脂肪=グリセリン脂肪酸エステル=トリグリセリド=脂肪全体を指す言葉です。

そんな中性脂肪は植物にも含まれています

小学校の頃に、「種の発芽実験」をしたことがある人は多いと思いますが、小学校では「でんぷん」が栄養素となって発芽すると学びましたよね。ヨウ素液を使用して、確認する実験、覚えていませんか?

しかし、実は植物の種子にもこの中性脂肪が含まれています

種が芽を出すためには「エネルギー」が必要です。
植物は「でんぷん」だけでなく、「中性脂肪」も分解してエネルギーを取り出し、発芽しているのです。

ですので、中性脂肪を一言で言うなら、「動植物界すべてに存在する脂質」だと言えます。

では、「皮下脂肪」「内臓脂肪」と何が違うのでしょうか?

中性脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪との違いとは?

ここまでで、中性脂肪が自然界に存在する脂肪であることは、なんとなく理解いただけたかと思います。
では、私たちがよく使う「中性脂肪」「皮下脂肪」「内臓脂肪」は何が違うのでしょうか?

中性脂肪と皮下脂肪・内臓脂肪の違いは、「それを人間目線で置き換えているか」ということです。

皮下脂肪とは?

皮下脂肪とは

皮下脂肪は、一言で言うなら「つまめるお肉」のことです。
お腹をつまんだときに、つかむことのできるお肉の正体は皮下脂肪です。

皮下脂肪は血中の中性脂肪が変化して蓄積されたものであり、私たち人間が「皮膚の下にある脂肪だから『皮下脂肪』と呼ぼう」と決めているだけです。

内臓脂肪とは?

それに対して内臓脂肪は、内臓周りについている脂肪のことで、「つまめない脂肪」のことです。

内臓脂肪は目で確認することはできませんが、
「つまめるお肉が少ないのに、なぜかお腹が出ている」
という場合には内臓脂肪が多いと判断できます。

この内臓脂肪は体組織計などでも測定でき、成人男性で内臓脂肪レベルが10前後、成人女性で内臓脂肪レベル7前後が標準的と言われています。(正確には年代によって多少平均値が異なります。)

「え?内臓脂肪レベルって何?」
そう感じた私は、内臓脂肪レベルについて監修医師に聞いてみました。

稲垣
先生、内臓脂肪レベルって何ですか?
浦和先生
「内臓脂肪レベル」のレベル1は、およそ脂肪面積10cm2に相当します。
メーカーにより異なりますが、大体内蔵脂肪レベル10が内臓脂肪面積が100cm2になるように設定されている体組織計(体組成計)がほとんどです。
内臓脂肪レベルが10を超えると、内臓脂肪が過剰に存在している状態で、メタボリックシンドロームの可能性が高くなり、生活習慣病になりやすいと言われています

この内臓脂肪も中性脂肪が変化して、内臓付近に貯蔵されたことによって起こります。
なお、一般的に「内臓脂肪は男性につきやすい」と言われていますが、女性でも内臓脂肪がたまりやすい人もいます。

中性脂肪は、内臓脂肪・皮下脂肪の原因です

中性脂肪とは、内臓脂肪・皮下脂肪の原因

つまり、中性脂肪値が高いということは、それだけ血液中に脂肪分が多いという事であり、多いからこそ、「皮下脂肪」「内臓脂肪」として体に蓄えられやすいということです。

もちろん一度ついてしまった「皮下脂肪」「内臓脂肪」は、代謝を上げる筋トレをしたり、有酸素運動で燃やしたりしなければ減らすことはできません。

しかし、血中にある「中性脂肪」もケアしないと、せっかく「皮下脂肪」「内臓脂肪」を減らしても、また増えてしまいます。

中性脂肪を下げる?皮下脂肪・内臓脂肪を減らす?どれが優先?

どれが優先

ですので、ただ単に「中性脂肪値が高い」というだけであり、今現在肥満でなければ、「中性脂肪値(血中にある脂肪)」の量を下げることだけに注力すれば大丈夫です。

しかし、「すでに皮下脂肪がついている」「内臓脂肪が多い」ということであれば、中性脂肪値を改善するとともに、過剰な皮下脂肪・内臓脂肪を燃焼させていかなければいけません

ダイエットサプリなどを活用して運動による脂肪を燃焼しやすくしたり、カロリーカットサプリを使ってカロリーコントロールをサポートしながら、効率的に脂肪燃焼させていきましょう。

中性脂肪を下げるとともに、皮下脂肪・内臓脂肪を減らすには?

ここまでで、「中性脂肪とは?」ということから、「中性脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪の違い」まで紹介してきました。

しかし、大事なことは、「理論」「知識」ではありません。
どうしたら中性脂肪値を下げたり、皮下脂肪・内臓脂肪を減らすことができるのか?という部分です。


  1. 中性脂肪値を下げるにはどうすればいいのか?
  2. 皮下脂肪や内臓脂肪を減らすには?

中性脂肪値を下げるにはどうすればいいのか?

中性脂肪値が高いという事は、血液中の脂肪分が多いという事です。
ですので、根本的な改善のためには「食生活の改善」が必要になります。

血中の中性脂肪値が高いということは、それだけ食生活が乱れている証拠だからです。

特に「外食」「カップラーメン」などが多い人は、中性脂肪値が高くなりがちですので、日々の食生活から見直してみましょう。

そして、「中性脂肪値を高くする原因」についても知っておきましょう。これについては下記記事で詳しく紹介しています。

現役内科医に教えてもらった!中性脂肪が高い7つの原因

2017.09.25

また、青魚から摂取できる「DHA・EPA」は中性脂肪値を下げるはたらきがあることが分かっており、EPAを高配合したEPA錠剤は薬としても使用されています。
DHA・EPAは信頼性の高い成分だということです。

しかし、DHAEPAは1日に1000㎎が推奨されていますが、日本人は400㎎~600㎎ほどが不足していますから、DHAEPAサプリで効率的に補っていきましょう。

皮下脂肪や内臓脂肪を減らすには?

皮下脂肪や内臓脂肪を減らす

では、一度ついてしまった皮下脂肪や内臓脂肪を減らすには、どうしたら良いのでしょうか?これについて一番効果的なのは、「運動をする」ということです。

皮下脂肪や内臓脂肪が多くなるのは、「血中の中性脂肪が、運動不足によって使われていないから貯まる」ことが多いからです。

しかし、むやみやたらに運動をしても効果がないこともあります。つまり、「正しい運動方法」があるのです。

これに関しては、下記記事(コレステロールという言葉が入っていますが基本は変わりません)をお読みいただき、下記記事で書いてあることを意識しながら運動をしていきましょう。

コレステロールを下げるのに効果的な運動方法とオススメ種目【医師監修】

2017.09.27

血液がドロドロであることも忘れずに、正しい血液ケアをしよう

また、中性脂肪値が高い人や、それに伴って内臓脂肪・皮下脂肪が多い人の血液は「ドロドロ」である場合が多いということが分かっています。

この「サラサラ」「ドロドロ」については、改めて記事をかかなければいけないほど大切(嘘の情報が蔓延しているため)なことなのですが、「どうすれば血液状態が良くなるのか」を知り、今日から対策をして欲しいと思っています。

このページには、中性脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪に悩む人が来ているはずだからです。そして、なんとしてもその悩みを「解消」してほしいのです。

下記記事はちょっと胡散臭い記事タイトルではありますが、血液状態を良くするための「食品(主にサプリ以外)」について紹介しています。

そちらも併せてお読みいただき、中性脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪・血液の改善をしていってくださいね。

【内科医監修】血液をサラサラにする11の方法まとめ!オススメの食べ物や運動方法

2017.09.27

さいごに

ここまでお話ししてきたように、「やることは満載」です。

ですが、喜ぶべきことに、中性脂肪を下げたり、内臓脂肪や皮下脂肪を燃やしたり、血液状態を良くしたり、コレステロール値を基準値にしたり・・・といった方法は、すでに解明されつつあります

そして、それらの方法は「相乗効果」が生まれます。

ですので、「1」よりは「2」を、「2」よりは「4」をやってみて欲しいのです。

そうして「対策すること」を増やしていくと、1年後の検査では、思いもよらぬ改善が期待できるとともに、今の「体型」や、「心の状態」まで良い方向に向かうことにつながります。

このようなケアについて、一部の人は「知っていながらもおろそか」にしていることでもあります。ですので、できれば今日から何かしらの「行動」をしてみて欲しい、そう強く願っています。