中性脂肪値が高いと、血液がドロドロになるとともに、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化といった原因にもなってきます。
しかし、どうして中性脂肪は高くなるのでしょうか?どんな原因があるのでしょうか?
このページでは、「自分自身が中性脂肪が高いと言われた」という人だけではなく、「家族が中性脂肪が高いと言われた」「今後が心配だから中性脂肪の予防をしたい」という方にむけて、「中性脂肪が高くなる『7つの原因』」をまとめて紹介していきます。
しかし、原因には「個人差」があり、ハッキリとした原因を知るためには検査が必要です。あくまでこの記事の内容は「参考」程度にとどめていただき、自分の原因を知りたい場合は検査を受けるようにしてください。
もくじ
中性脂肪が高い原因は何?




中性脂肪値が高い原因は人によって様々です。
しかしもし下記の「7つの原因」に心当たりがあれば、今日から少しずつ改善していきましょう。
- 食べ過ぎ
- アルコールの飲み過ぎ
- 運動不足
- ストレス
- 遺伝
- 複数の原因の相関による負のスパイラルと肥満
- 喫煙・タバコ
原因①:食べ過ぎ

まず、中性脂肪が高い1番の原因は「食生活」にあります。その食生活の中でも「食べ過ぎ」は厳禁です。
特に「炭水化物(糖質)・脂質」の食べ過ぎ、DHAEPAの不足は大切なことですので、
- 炭水化物・糖質・脂質
- DHA・EPA(青魚)の摂取不足
の2点について詳しく説明します。
炭水化物・糖質・脂質
ついつい食べ過ぎてしまうのが「炭水化物」「糖質」「脂質」の3つです。
炭水化物について
炭水化物は、例えば「お米」「パスタ」「パン」といったものですね。
炭水化物は消化されやすく、食後の血糖値を一気に上げます。
つまり、炭水化物がブドウ糖に変換されて、一気にエネルギーになるのですが、それは過剰なエネルギーであることが多いので、中性脂肪として蓄えられてしまいます。
糖質について
糖質といえば「ケーキ」「デザート」といったものでしょう。
これは炭水化物よりもさらに「やっかい」な存在です。なぜなら糖質は炭水化物が分解された物質ですが、最初から「糖」に変換されているため、食後の血糖値の上昇は炭水化物よりも高いのです。
そして、もちろん体にとっては、過剰なエネルギーですので、中性脂肪として蓄えられやすくなります。
脂質について
脂肪分が多いモノには「ハンバーグ」「ステーキ」「焼肉」といったものがあります。
これらは、一気に血糖値を上げるモノではありませんが、動物性の脂肪を摂取した場合、中性脂肪として摂取している割合が高くなります。
中性脂肪は消化・吸収の過程で一旦、グリセロール(グリセリン)と脂肪酸に分解されますが、リンパ管を介し、血液中や肝臓で再度中性脂肪に合成されます。
これが、食後の中性脂肪が著増する理由で、さらに「日頃からの高脂肪食」は空腹時の中性脂肪も高くしてしまいます。
DHA・EPA(青魚)の摂取不足

そして、中性脂肪が高い人の多くは「魚不足」であることも多いです。
特にDHA・EPAは、血液をサラサラにしたり、中性脂肪を下げたりといった効果があることが分かっていて、厚生労働省も1日1g(1000㎎)を摂取するよう呼びかけているのですが、最近のDHA・EPAの摂取量は本当に少なくなっています。
⇒年代別のDHA・EPA摂取量(別記事にジャンプします)
もちろん、DHA・EPAを摂取しても、食べ過ぎであれば中性脂肪も高くなります。
しかし、魚料理が多ければ、食べ過ぎても中性脂肪が高く「なりにくい」のも事実ですので、「どうしても食べ過ぎたい!」という方は、普段のメイン料理を魚にしてみましょう。
また、「魚が嫌い」「魚はあまり食べない」ということであれば、DHA・EPAのトクホである「イマーク」や、DHA・EPAサプリで日本で一番売れている「きなり
」などを利用して、中性脂肪を下げていきましょう。
なお、魚不足が気になる方のDHAEPAサプリランキングは下記記事で紹介しています。
①炭水化物(糖質)・脂質の食べ過ぎは控えよう(できれば制限する方が良い)
②肉料理ではなく、魚料理を中心にした食生活にシフトしよう
③魚を食べない日はDHA・EPAをサプリで補おう
原因② アルコールの飲み過ぎ

次に「アルコール」です。アルコールが中性脂肪に悪いというのはよく言われますが、それはなぜなのでしょうか?



本来「肝臓」では、「脂肪酸」を分解(β酸化)し、エネルギー源としていますが、アルコールがこのβ酸化を抑制することで、脂肪酸の分解が進まず、徐々に中性脂肪として蓄積され脂肪肝となることがあります。
また、お酒のアルコールの成分はエタノールなのですが、エタノールは、アセトアルデヒド→酢酸と代謝され、その後、水と二酸化炭素まで分解されます。
しかし過度な飲酒で酢酸が多くなると一部は、酢酸→アセチルCoA→長鎖脂肪酸と合成され、長鎖脂肪酸を構成成分とする中性脂肪が合成されてしまうのです。
浦和医師はこう続けます。

上手に付き合えば、アルコールはHDL(善玉)コレステロールを増やし、LDL(悪玉)コレステロールを減らすと言われています。つまり動脈硬化性病変の進展を予防してくれる可能性があります。
事実、適度の飲酒が、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の発症を抑制することが、多くの疫学調査によって報告されています(1977年発表のFramingham Studyなど)。
しかし、「多少なら良い」と考えている人の中には「飲み過ぎている」人も多くいます。
やはりベストは「禁酒すること」ですから、お酒はほどほどにし、普段は出来る限り「飲まない」生活を続けていくことがオススメです。
原因③ 運動不足

食生活と並んで中性脂肪が高い原因になっているのが「運動不足」です。
仕事も一昔前と比べてパソコンを使って行うものも多く、「働いていれば運動する」わけではなくなってきました。
だからこそ「運動はやらなくちゃいけない」と分かっている人が多いのですが、なかなか運動する時間を取ることはできませんよね。
そこでおすすめなのが「隙間時間のウォーキング」です。
エレベーターではなく階段を使う、食後に10分だけ散歩をする習慣をつける、というように、「普段の休憩時間」や「移動時間」をウォーキングに変えてみましょう。
それだけでも、運動をしないよりは良いことが多いです。
もちろんもっとできる方は運動した方がいいですが、それが無理な場合で、なおかつ中性脂肪が高い時には、DHA・EPAサプリ等を上手に取り入れていきましょう。
※運動については下記記事で詳しく紹介しています。
原因④ ストレス

「ストレス社会」という言葉があるように、現代は常にストレスに満ちています。
そんなストレスは中性脂肪を高めることでも有名です。
これは、ストレスを感じることによって、血行が悪くなったり、血糖値が上がることに関係しています。また、ストレスによる「過食」といった原因もあります。
ストレスは生きていれば必ず感じているものです。
ストレスコーピングなど、ストレス対策術を身につけたりすることで、軽減できる可能性があります。
原因⑤ 遺伝
人間ですから当然「遺伝」があります。
つまり、中性脂肪が高くなりやすい人もいれば、低くなりやすい人もいるということです。
いわゆる「体質」です。
もちろん中性脂肪が高くなりにくい人がうらやましいと思うこともあります。
しかし、「体質だと気づくこと」と、それを受け入れることも大切になりますので、家系的に中性脂肪値が高くなりやすい場合にはしっかりと対策をしていきましょう。
もし「ダイエット」も考えている場合は「遺伝子検査」を行うのがオススメです。
遺伝子検査を行うことで、自分が
- 糖質で太りやすい「リンゴ型」
- 脂質で太りやすい「洋ナシ型」
- 筋肉がつきにくい「バナナ型」
- 生活習慣に問題がある「アダム・イブ型」
のどれに当てはまるのか分かります。自分にとって一番痩せやすい方法も分かるため、ダイエットをする場合は遺伝子検査をしてみましょう。
遺伝子検査は国内シェア70%の「GebeLife」がオススメです。
※3,980円/WEB・アプリ版,5,980円/紙報告版
※一度検査すれば二度目の検査は必要ありません。(遺伝子は変化しないため)
原因⑥ 複数の原因の相関による負のスパイラルと肥満

ここまで紹介した原因は、どれも悪い意味で相乗効果をもたらします。そうなることで、「肥満」にもなるわけですが、肥満がますます中性脂肪値を高める原因にもなります。
肥満になる生活は、中性脂肪が体になる生活とほぼイコールです。
もし今現在中性脂肪値が基準範囲内だとしても、「最近肥満になってきた」と感じる部分があれば、きちんとした対策が必要になります。
原因⑦ 喫煙・タバコ

ここまでは紹介しませんでしたが、中性脂肪が高くなる原因にの1つには、もちろん「タバコ」があります。
「百害あって一利なし」とは言いますが、喫煙者もそのことは分かっています。それでもやめられないから苦しいのです。
ですので、タバコを吸っている方に、「この機会にやめましょう」とは言えませんが、禁煙外来に行って禁煙チャレンジをしてみたり、ニコチンガムが自分に合うか試してみたり、ちょっとずつ禁煙する方向で努力をしてみてはいかがでしょうか。
①アルコールとは上手に付き合おう
②運動不足の時には、最低限ウォーキングの時間を増やそう
③ストレス対策をして、日々の充実感を高めよう
④遺伝の可能性がある時は、人よりも中性脂肪対策をしっかりしよう
⑤肥満になってきたら、中性脂肪が高い・低いに関わらず肥満対策を!
⑥タバコを吸うなら禁煙の第一歩を踏み出そう
中性脂肪が高い原因に心当たりがあっても、少しずつ取り組もう
ここまで中性脂肪が高くなる7つの原因について紹介してきました。
しかし、だからといってすべての原因を取り除こうとすると、心が疲れてしまいます。また、継続が難しくなり1か月後にはせっかくの改善が元に戻ってしまうこともあります。
ですので、例えば「今月は『運動』の習慣をつけるぞ」「今月は徐々に炭水化物を落としてみよう」というように、「ちょっとした変化」をさせていき、体と心に無理が生じない範囲でやっていきましょう。
そうするとだんだんと「健康とはどんな状態か」が体感でき、モチベーションが上がり、さらに頑張ろうと思えてきます。
原因は知ることは大事ですが、「継続して改善」することはもっと大事です。今日から少しずつ改善していき、このページに来た方には「今日からのちょっとした良い変化」を楽しんでいただけると幸いです。
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「中性脂肪が高いと何が悪いの?」と思っている方は下記記事を確認しておきましょう。
この記事の監修者

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現役内科医・日本内科学会認定内科医
近畿大学医学部卒。2004年医師免許取得(医籍登録番号:第441704号)、2016年医学博士号取得