「DHA」や「EPA」の血流改善・中性脂肪を下げる効果は、エビデンス(証拠)が確立されており、有効であることから、厚生労働省も摂取を推奨しています。
また、食事だけでは摂取量が少なすぎることから、最近ではDHA・EPAを含むサプリメントも推奨されるようになってきました。
しかし、きちんと摂取量を知っておかなければ、「蓋を開けてみたら効果がなかった」「今まで頑張ってきた意味がなかった」となります。
このページでは、まず、「今現在の年代別のDHA・EPA摂取量」を紹介します。これで「おおよそどれくらいDHA・EPAが足りていないか」が分かります。その後、「推奨摂取量」を知り、その差を埋める努力をしていきましょう。
もくじ
DHA・EPAの年代別摂取量(平均値)
厚生労働省が推奨しているDHA・EPAの摂取量は「1日1000㎎」です。これは最低の摂取量ですし、1000㎎は例えばサバの開きの6分の1ほどに含まれていますので、比較的容易に摂取できます。
ですので、多くの人が満たされていそうなのですが、実は年代別でみると、平均でこれだけ(下記表)しか摂取できていないことが分かっており、これが厚生労働省の注意勧告である「呼びかけ・推奨」の理由となっています。
年齢 | 男性(DHA・EPA) | 女性(DHA・EPA) | |
1歳~2歳 | 81mg・35mg | 81mg・31mg | |
3歳~5歳 | 108mg・60mg | 106mg・59mg | |
6歳~7歳 | 111mg・57mg | 120mg・47mg | |
8歳~9歳 | 162mg・51mg | 132mg・45mg | |
10歳~11歳 | 152mg・58mg | 144mg・46mg | |
12歳~14歳 | 181mg・53mg | 196mg・69mg | |
15歳~17歳 | 223mg・84mg | 185mg・61mg | |
18歳~29歳 | 162mg・46mg | 145mg・43mg | |
30歳~49歳 | 229mg・96mg | 163mg・63mg | |
50歳~69歳 | 481mg・250mg | 380mg・205mg | |
70歳以上 | 505mg・270mg | 378mg・218mg | |
全年齢 | 290mg・140mg | 238mg・120mg |
※日本人の食事摂取基準より
上記を見ていただくと分かる通り、1000㎎どころか、その3分の1程度しか摂取できていないことが分かっています。
そして、現代の食生活はより魚からお肉へという方向へシフトしています。魚嫌いの子供も増えてきました。ですので、今後DHA・EPAがさらに不足していくようになるでしょう。
しかし、1日あたり、いったいどれくらいのDHA・EPAを目標にすればよいのでしょうか?また、上限摂取量はあるのでしょうか?
DHA・EPAの推奨摂取量と上限摂取量(過剰摂取)

ここでは、DHA・EPAの「推奨」摂取量を見ていくとともに、これ以上摂取すると危険性や副作用があるという「上限」摂取量を見ていきましょう。
DHA・EPAの推奨摂取量
まず、厚生労働省が定める「推奨」の摂取量ですが、これについては先ほどお伝えしたように「DHA・EPAをあわせて1日1000㎎(1g)」です。これは、普段からDHA・EPAの多い魚を食べれば、ほとんどの場合満たすことができます。
例を挙げると・・・
魚の種類 | DHA含有量※100gあたり | EPA含有量※100gあたり |
さば | 1781mg | 1214mg |
天然ぶり | 1785mg | 899mg |
さんま | 1398mg | 844mg |
あじ | 748mg | 408mg |
サケ | 820mg | 492mg |
かつお | 310mg | 78mg |
100gあたりに、多く含まれるものであれば2000㎎~3000㎎以上ものDHA・EPAが含まれていることが分かります。
ただし、DHA・EPAは熱に弱く、煮る・焼くをした場合には20%が失われ、揚げた場合には50%が失われることも分かっています。
ですので、「煮る」「焼く」「揚げる」をしてはいけないという方もいますが、それではせっかくの美味しい食材が無駄になることもあります。ですので、DHA・EPAが熱に弱いという事を知り、「減った分をどこかで補う」という姿勢が大切になるのではないでしょうか。
【DHA・EPAはまとめて摂取することができない!】
残念ながら、脂肪酸は飽和脂肪酸も、不飽和脂肪酸(DHA・EPA)もエネルギーを生み出すために分解されます。
脂肪酸がエネルギー源である以上は、DHA・EPAを数日分まとめて摂取してもエネルギーとして使われて分解されてしまいます。不飽和脂肪酸の人体に良い作用を持続させることができません。
脂肪酸が過剰で蓄積する場合(すぐにエネルギーとして利用されない場合)を考えてみても、不飽和脂肪酸に比べ、食事性の飽和脂肪酸が圧倒的に多いため、相対的な比率で、DHA/EPAが蓄積されているとしてもわずかと考えられます。
DHA・EPAの血中濃度を一定以上に保ち、DHA・EPAの人体に良い作用を持続させることができますように毎日摂取することが大切ですので、特に中性脂肪や血行が悪い方は、DHA・EPAが足りない日にはサプリで補うようにしましょう。
「DHA・EPA協議会」においても、足りない日はサプリで摂取することが推奨されています。
DHA・EPAの上限摂取量と過剰摂取について
このように、日本人の今の食生活では足りていないDHA・EPAですが、足りないからと毎日多く摂取してしまうと、過剰摂取になってしまい「吐き気」「下痢」「胃もたれ」「胸焼け」といった副作用が出てきます。
また、DHA・EPAは血行改善に効果があることが分かっており、血液をサラサラにしてくれます。サプリと言えども効果があるため、血液が固まりにくくなったり、出血が止まりにくくなったりすることもあります。
これについて、欧州の基準では「1日5000㎎」、アメリカの基準では「1日3000㎎」となっており、ここまでは安全だと言われています。
ですので、基本的には厚生労働省の定める「1日1000㎎」を目標としながら、1日3000㎎以上の摂取になりそうな場合は、食べる量を上手にコントロールしていきましょう。
さいごに -DHA・EPAは毎日こまめに摂取するのが大切です
このページでは、DHA・EPAの日本人の平均摂取量と、厚生労働省が定める推奨摂取量、そして過剰症に注意しなければいけない上限摂取量の、「3つの摂取量」について紹介しました。
そして、大切なことは、「毎日継続してDHA・EPAを摂取する」ということです。
この大切さはよく言われているのですが、「魚を食べるぞ!と思った1か月後には、いつも通り肉食が多くなった」「サプリを買ったのに、1か月後には飲んでさえいない」というのが現状です。
ですので、まずは「DHA・EPAを、無意識でも摂取し続ける『週間作り』」からはじめてみてはいかがでしょうか。
また、それと併せて「適度な運動」「暴飲暴食をしない」などの基本的な生活習慣の改善も併せて行うことで、より健康は増進するはずです。
この記事の監修者

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現役内科医・日本内科学会認定内科医
近畿大学医学部卒。2004年医師免許取得(医籍登録番号:第441704号)、2016年医学博士号取得