人間は「エネルギー」を使って生きています。このエネルギーには「糖」と「脂肪」が使われていますが、中性脂肪が低すぎると「脂肪」からのエネルギーが不足してしまうため、疲れやすくなり元気もなくなると言われています。
また、中性脂肪が低すぎると、油に溶けて運ばれるはずの「脂溶性ビタミン」の運搬がスムーズにできなくなります。そのため栄養失調気味になったり、心身に不調をきたすことになるのです。
このページでは、中性脂肪が低い方に向けて、低くなる原因と今日からできる対策を紹介していきます。
こんにちは!
DHAEPAサプリのススメ編集長の稲垣です。
「中性脂肪が低すぎる」という悩みは中性脂肪値が高い人にとってはうらやましいですが、中性脂肪が低い人は、高い人よりもより悩みが深刻です。なぜなら元気が出ないし、疲れるし、仕事や普段の日常に支障をきたすからです。
中性脂肪値(TG値)の正常値については以下のように定められています。
29以下 | 30~149 | 150以上 |
低中性脂肪血症 | 正常 | 高中性脂肪血症 ※150~299:境界域-軽度 300~729:中等度 750以上:高度 |
つまり低くても「低中性脂肪血症」と診断されますし、だからこそ「改善」も必要なんです。改善するためには「原因」を知ることがまず大事。
そこでこのページでは中性脂肪が低くなる原因を明らかにするとともに、どうすれば上げることができるのか、また、正しい上げ方について紹介していきます。


もくじ
中性脂肪が低い原因は生活習慣だけじゃなかった!

中性脂肪が低くなる原因として一番大きな要因となるのが「普段の食事」です。しかし、しっかり食べているのに中性脂肪値が低い人がいることからも分かるように、「食事だけ」が原因でないのも事実です。
ここでは、食事も含めた中性脂肪が低くなる原因を紹介していきます。
過剰な運動

性別に関係なく、毎日ジムに通って何時間も歩くという人が増えています。歩くことは健康に良いですし、体力づくりにもなるのですが、「過度」にやりすぎると中性脂肪を運動エネルギーとして消費してしまい、中性脂肪値が低くなる可能性があります。
特に「運動した後に健康診断を受けた」場合には、運動が検査数値に影響を及ぼします。問題はないとも言えますが、運動の「仕方」を見直す必要があります。
無理なダイエットと偏食・少食

ダイエットに有効なものの1つに「断食」があります。断食はすればするほど「目に見えて」効果があるものであり、数週間で5kg痩せるなどを実感することができます。ですので、ある意味で「断食がクセ」になるほどです。
断食は極端な例ですが、ダイエットによる過剰な食事制限は、中性脂肪値を下げるとともに、中性脂肪値が下がるからこそ脂溶性ビタミンの運搬がうまくいかないようになります。
「酵素ドリンクを飲んでいるからOK」「ビタミン剤を飲んでいるから大丈夫」ではなく、最低限の脂質を食事で補う姿勢が大切です。
1日に必要なカロリー | 1日に必要な資質 |
1800kcal~2300kcal | 40g~50g(1日に必要なカロリーの20%~30%) ※脂質1gあたり9kcal |
※カロリーについて:1日に必要なカロリーは「基礎代謝量×身体活動レベル」で算出できます。正しく自分に合った必要なカロリーを知りたい方は、日本医師会の推定エネルギー必要量のサイトにて計算することが可能です。
体質・遺伝

食べているのに中性脂肪が低いという場合に考えられるのが「体質」「遺伝」です。特に「無βリポタンパク血症」「原発性消化不良症候群」などの遺伝的疾患の場合には中性脂肪が低くなりがちであり、医師の指導のもと対策が必要になってきます。
これらは遺伝ですので、家族や親類に同じような方がいた場合は特に病院で検査が必要です。
肝機能の低下・肝臓疾患
中性脂肪は肝臓で脂肪酸や糖質を材料に作られます。しかし肝臓の機能が弱っていると、中性脂肪への変換がスムーズに行われず、中性脂肪値が低くなる可能性があります。
特に明らかに中性脂肪値やコレステロールが高くなってもおかしくない食生活をしているにもかかわらず、LDLコレステロール値、中性脂肪値が低くなる場合には要注意です。
一見、中性脂肪・コレステロール値が改善されているようにも思えますが、肝臓が悲鳴を上げている可能性もありますので、医師の検査・指導のもと生活習慣を改善していくようにしましょう。
甲状腺ホルモンの異常
「遺伝でもないし、過度なダイエットもしていない、肝臓もいたって健康」という場合に原因として考えられるのが「甲状腺ホルモンの異常」です。甲状腺ホルモンが異常になると新陳代謝が活発化し、中性脂肪値が低くなりやすくなります。
また病気にかかりやすくなるなど、免疫機能も低下していきます。原因が分からない場合で、なおかつ甲状腺ホルモンの検査を受けていない方は、検査を受けてみるようにしましょう。
※甲状腺ホルモンに異常が起こると、「動悸」「汗」「倦怠感」などの症状がみられます。


中性脂肪値が低いとどんな症状が出るの?

では、中性脂肪が低くなると、どんな症状を感じることがあるのでしょうか?ここでは、代表的な症状を紹介していきます。
- 疲れやすくなる
エネルギーが少ない状態のため、疲れやすくなります。また、頭が冴えなかったり、やる気が出なかったりといった症状を感じることもあります。 - 肌荒れや免疫力の低下
脂溶性ビタミンが不足状態になり、肌荒れや免疫力、骨や血管などに異常が起こることがあります。
特に「脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、βカロチンなど)」の不足の影響は大きいです。これらが不足してしまうと、風邪をひきやすくなったり細菌感染しやすくなります。
また、抜け毛や肌荒れなども起こりますし、口内炎や唇が荒れるなどの粘膜系の症状も起こりやすくなります。さらに、骨がもろくなったり、血管が老化するため動脈硬化も起こりやすくなります。
特に注意が必要なのは、これらの症状と中性脂肪の低下の関連性に気付く人がごくわずかだということです。もし過剰なダイエットや食事制限をしている方は、この機会に自分の食事を見直してみましょう。
上手に食事制限している人は、糖質・脂質をすべてカットしているわけではありません。最低限は補いながら、計算してカットしていますので、「それでも食事制限をしたい」という方は、自分の食事のエネルギーや脂質を計算して計画的に行いましょう。
どうしたら中性脂肪値を上げることができるのか?
では、中性脂肪値が低い人は、どんなことを意識すれば、中性脂肪値を上げていくことができるのでしょうか?ここでは、「正しい上げ方」とともに紹介していきます。
1日に必要な炭水化物・タンパク質・脂質を補おう
まず大事なのが1日3食食べることですが、「1日2食派」という人もいれば、「1日1食しか食べない」という人もいるでしょう。そこで注目したいのが1日に必要な炭水化物・タンパク質・脂質を補う事です。
炭水化物・タンパク質・脂質は人間の三大栄養素とも言われています。特に「タンパク質」が含まれている物にはある程度脂質も含まれていますし、タンパク質自体にもカロリーは多く含まれています。
ですのでもしダイエット中や食事制限中であれば、特に「タンパク質」を中心に食生活を改善してみましょう。
極度に食べる量を増やさない、徐々に増やす
「中性脂肪値が低すぎるから」と突然食べる量を増やすと、胃も肝臓もびっくりしてしまいます。こうなると食べたものが消化しきれず、胃もたれや腸内環境悪化など、さらなるトラブルを引き起こすことにもつながります。
食事量の目標を決めたら次は「徐々に」増やしていくことを心がけましょう。そうすることで内臓に負担をかけず、中性脂肪を増やしていくことができます。
毎日体重計に乗ることも忘れないでください。カロリー摂取量>消費量になれば人間は太りますので、体重を1つの目安にしながら、上手にカロリーコントロールをしていきましょう。
なお、適正な中性脂肪値に戻ったらそれを「維持」することが大切です。増えすぎたからといってまた食事制限をすると本末転倒ですので、そのあたりはしっかり計算して、セルフケアをしていくことが大切です。
食べれない人にオススメ「プロテイン」
食べる量を増やしたくないという人が探すのが「中性脂肪を上げるサプリ」です。しかし、そのようなサプリはありません。ただ、オススメは「プロテイン」です。
プロテインはタンパク質量が多く、タンパク質は1gあたり4kcalあります。なおかつ牛乳などと一緒に飲めば、脂質も補うことができるため、非常に効率が良いエネルギー源です。
ただし、プロテインを摂りすぎると内臓疲労や腸内環境の乱れにつながります。プロテインはあくまで「タンパク質を補う補助」ですので、普段の食事から改善していくことが大切です。
◎オススメは大豆由来のソイプロテインです。
さいごに
中性脂肪値が低すぎる方の原因のほとんどが「過剰なダイエット」「過剰な食事制限」です。これらは、専門家指導のもと行えば効果的ではありますが、素人が行うと「もろ刃の剣」となります。
しかしダイエットや食事制限で低くなった中性脂肪は、元に戻しやすいと言う特徴があります。なぜなら「食べれば」戻っていくからです。
とはいえ今回紹介したように、「上げたくても上がらない」病気もあります。この場合には対症療法しか存在しないことも多いですが、医師の指導を受けながら、適切な治療をしていくことが大切です。
この記事の監修者

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現役内科医・日本内科学会認定内科医
近畿大学医学部卒。2004年医師免許取得(医籍登録番号:第441704号)、2016年医学博士号取得