世間では「太りやすい(肥満)体質」「痩せ体質」などと言われることがあります。
そして「痩せ体質」は生活改善で手に入れられるものではあるのですが、やはり太りやすい人は太りやすいのが現実です。
同じ量を食べたとしても、同じ食生活をしたとしても、痩せやすい人は痩せますし、太りやすい人は太ります。
「そんな悲しい現実があるなんて・・・」と思われたかもしれませんが、この現実を受け止めた方は「痩せ体質になるための第一歩」を踏み出したと言えるでしょう。
そして、あきらめる必要もまったくありません。
なぜなら太りやすい体質の人の方が、食事や運動などを気にしやすく、長い人生で見れば「健康体質」を維持しやすいからです。
原因を知って自分の体のことを知り、改善していけば、必ず痩せることができます。
太りやすい人は痩せやすい人よりも「努力」は必要です。でも、「ほんのちょっと」痩せやすい人より努力すれば、太りやすい体質の人の方が痩せることだってできます。
ではまずは「太りやすい体質の原因」からみていくことにしましょう。
もくじ
太りやすい体質の原因=これまでの人生

太りやすい体質の1つが「遺伝」です。しかし遺伝だとしてもそれは変えられませんし、遺伝だから太りやすいのではなく、「生まれてからそういう体質になった」という場合も多くあります。
ここでは「太りやすい体質」になるための原因を紹介していきます。どれも「改善できる原因」ばかりですので、これまでの自分の人生を振り返ってみて下さい。
- 3歳までに蓄えられた脂肪細胞
- カロリーを見ていない
- 運動不足
- 空腹状態で寝ていない
3歳までに蓄えられた脂肪細胞

小さい頃の写真を見つけて、自分を見てください。どうでしょう、太っていますか?痩せていますか?
実は太りやすい体質は「3歳まで」に決まると言われています。
これは3歳までに、脂肪をため込む「脂肪細胞」の数が決まっているからです。
もし3歳までに太っていたのであれば、脂肪細胞が普通よりも多く、「太りやすい肥満体質」になっていると言えます。
だからと言ってあきらめることはありません。
脂肪細胞を減らすことはできませんが、脂肪細胞を小さくすることはできるからです。
また、もし3歳まで普通の体型で今は太っているなら、遺伝的なものや生まれつきではなく、普段の生活が原因です。
特にこの後紹介するものが「太りやすい体質」を作っている可能性がありますので、このまま読み進めて、さらに自分が太りやすい原因を探っていきましょう。
カロリーを見ていない

元々本当に太らない、痩せ体質で全く食事を気にしていない人もいますが、「努力」で痩せ体質を手に入れた人は「カロリー」をしっかり見ています。
なぜなら人間が痩せるには「消費カロリー>摂取カロリー」にすることが必要だからです。
そして痩せ体質の人は「消費カロリー>摂取カロリー」になるように、自分の基礎代謝や1日の摂取カロリー上限をある程度決めています。
あなたの基礎代謝はどれくらいでしょうか?
100kcal消費するために、どれくらいの運動が必要でしょうか?
これらの疑問に答えられる人ほど痩せ体質に慣れる可能性が高いです。もし知らなければ、今日から知って、しっかりカロリーコントロールをしていきましょう。
運動不足

次に太りやすい原因として考えられるのが「運動不足」です。
運動にはランニングやウォーキングなどの「有酸素運動」と、筋トレや短距離走などの「無酸素運動」がありますが、特に「無酸素運動不足」になると太りやすくなってしまいます。
無酸素運動によって筋肉が大きくなると、それだけ体の代謝もよくなるよく言われますが、無酸素運動をする何よりのメリットは「ミトコンドリアのはたらきをよくすること」です。
ミトコンドリアは体のエネルギー生成工場です。
このはたらきがよくなることで、効率的に糖や脂肪を燃やし、エネルギーを生み出すことができています。
つまり、筋肉がある人ほど脂肪や糖を燃焼しやすく、痩せやすい体になっているという事です。「太りやすい体質」だと感じているのであれば、「有酸素運動」ではなく、「無酸素運動」をベースに運動していかないとなかなか痩せません。
空腹状態で寝ているか?

寝る前のお腹の状態も重要です。
例えば9時以降に夕飯を食べると、お腹に食べ物が残ったまま寝ることになります。
しかし寝ている間の消費カロリーはほとんどありません。ですのでそれだけ脂肪として体にたまりやすくなってしまいます。
一方、空腹状態で寝る人は、寝ている間に痩せることができます。
もちろん痩せられる量はほんのわずかですが、その「わずか」がチリツモとなっているため、痩せやすい体質になっているわけです。
これ以外にも「寝る前に食べること」「消化しきれていない状態で寝ること」によって太りやすくなる理由はありますが、とにもかくにも寝る前に食べたり、9時以降夕飯を食べる習慣がある場合は、太りやすい体質になっているということです。
太りやすい体質から痩せ体質になるにはどうすれば良い?

では、そんな太りやすい体質から痩せ体質になるにはどうすればいいのでしょうか?
- カロリーコントロール
- 肩甲骨付近の褐色脂肪細胞を活性化させる
- 筋トレ×有酸素運動
- 空腹で寝る習慣
カロリーコントロール
まず大事なのがカロリーコントロールです。特に痩せ体質になりたいのであれば、
- 男性:2000kcal/日
- 女性:1500kcal/日
を目安に摂取カロリー制限する「意識」が必要になります。
ですので、もし毎日「どれくらいのカロリーを摂取しているか」が分からなければ、1週間ほど自分の食事をメモするなどして、おおよその平均を一度計算してみるようにしましょう。
最近は食べたものを入力するだけで自動でカロリー計算をしてくれるアプリもあります。また、ライザップより糖質量ハンドブックという良書が発売されています。「めんどくさい」ことではありますが、痩せ体質になるための第一歩です!
また、「つい食べ過ぎてしまう」「仕事柄、外食が多くてなかなかコントロールできない」という人はカロリーカットサプリを有効活用していきましょう。
肩甲骨付近の褐色脂肪細胞を活性化させる
ヒトの肩甲骨付近には「褐色脂肪細胞」という脂肪を燃焼してくれる細胞があります。そして、この褐色脂肪細胞を活性化させるだけでも痩せ体質に近づくことができます。
褐色脂肪細胞を活性化させるには、
- 温冷浴(40度のお湯と20度の水を30秒ごとに交互にかける)
- 肩甲骨のストレッチ
といった方法があります。
しかし、褐色脂肪細胞は年齢とともに減少傾向にあります。だからこそ肩甲骨ダイエットだけに頼らず、他の方法での痩せ体質も目指していきましょう。
筋トレ×有酸素運動
カロリーコントロールや肩甲骨ストレッチと併せて行いたいのが「運動」です。
多くの場合痩せるためには「有酸素運動」が必要とされていますが、有酸素運動だけでは非常にもったいないです。
最大パフォーマンスを引き出すために「筋トレ×有酸素運動」の2つを行っていきましょう。
筋トレのススメ
そこでまず初めに行いたいのが筋トレです。
※初心者の方は「下半身」を鍛えるのがオススメです。痩せ体質になるには下半身を鍛えるのが、現在のスタンダードだからです。
筋トレを始めにすることで、成長ホルモンが分泌されるようになります。成長ホルモンが分泌されると、筋肉が大きくなるだけでなく、脂肪が燃えやすい代謝の上がった状態になります。
そのため筋トレをした後に有酸素運動を行うことで、より脂肪が燃えやすくなるんです。
また筋トレにはアフターバーン効果があります。これがあるため、筋トレ時に消費した19倍のカロリーを、筋トレ後に自然と消費することができます。
「走っても走っても痩せない」という人もいますが、それは筋トレをおろそかにしているからです。ですので、これを読んでいる方は、筋トレを甘く見ず、筋トレファーストで運動をしていきましょう。
プランクについては「インナーマッスルを鍛える「プランク」」で紹介しています。
有酸素運動のススメ
筋トレが終わったら、有酸素運動をしていきましょう。有酸素運動をする際は、
- 乳酸が貯まらない程度の負荷
- 1日合計30分以上
の運動を行うのが効率的です。
乳酸が貯まらない程度の負荷が大切なのは、乳酸が貯まる=無酸素運動になっているからです。あくまで脂肪が燃えやすいのは有酸素運動ですから、筋肉が疲労するほど負荷の高い運動はしないようにしましょう。
他の記事でも話していますが、目安としては「心拍数130前後」で「1時間程度でも余裕で歩ける」くらいの運動が適切です。
また、有酸素運動は30分間連続して行わなくても良いです。もちろん10分でも脂肪は燃えやすくなる=痩せ体質に近づきます。
しかし、毎日10分運動する人と、30分運動する人とでは痩せやすさが違います。体内のミトコンドリアを活性化させるためにも、有酸素運動は1日30分以上行うようにしていきましょう。
オススメの有酸素運動は「インターバルトレーニング」です。かなり激しいですが、短時間で脂肪燃焼効果をかなり高めることができます。「1日30分も時間がない」という方にオススメです。⇒インターバルトレーニングのやり方
空腹で寝る習慣
「夜中にお腹がすくと、ついお菓子を食べてしまう」
「ラーメン番組を見たら、コンビニにラーメンを買いにいってしまう」
太りやすい体質の人ほど、こういう行動をしている傾向にあります。反対に痩せ体型の人はお腹がすいても、何とも思いません。
だからこそ「食べたい」と思ったら「チャンス」と思いましょう。なぜなら空腹状態=脂肪が燃えている状態であり、まさに痩せ体質になっている状態だからです。
「今日も空腹で寝れて幸せだな」
慣れてくるとそう思えてきますので、まずは2か月間、空腹を我慢して寝る習慣をつけましょう。
また、この場合、朝起きた時に「空腹」の状態のはずです。朝昼晩しっかり食べることで、食後の血糖値の上昇が抑えられ、さらに痩せ体質になることができますよ。
太りやすい体質から痩せ体質になるまでの期間
ここまで太りやすい体質の原因と痩せ体質になるための方法について紹介してきましたが、今日から取り組んだとしてもなかなか結果は出てこないでしょう。
そうなんです。これまで培ってきた太りやすい体質は、目に見えて改善するまでに約3か月以上必要なんです。
ですので最初はどれだけ運動してもなかなか体重が落ちなかったり、体型に変化が現れなかったりしますので、心が折れかけてしまうこともあると思います。
しかし、運動や食生活の改善を続ければ、いつかそれが結果となってついてくるはずです。特に「手足」「ふくらはぎ」の脂肪が落ち始めたら、その後、お尻や腕、お腹周りも落ちていきます。(参考記事:脂肪には落ちる順番がある)
それまでは大変だと思いますが、そこを乗り越えると痩せ体質になっていく実感が持ててきますので、まずは3か月、自分のペースで頑張ってみて下さい。
さいごに
太りやすい体質は実は体質ではなく「習慣」である場合が多いです。
しかし、生活習慣を改善してもやっぱり「太りやすく、痩せにくい」という場合は、自分の遺伝子を検査してみるようにしましょう。
最近は自宅に居ながら郵送で遺伝子検査をできるようになりました。
特に日本で7割のシェアを誇っているのが「GeneLife(R)」です。
GeneLifeの遺伝子検査キットを使えば、自分が
- 「糖質で太りやすいタイプ」
- 「脂質で太りやすいタイプ」
- 「筋肉がつきにくいタイプ」
- 「生活習慣に問題があるタイプ」
のどれに属しているのかが分かります。
価格も3,980円と安く、遺伝子検査ですので、自分の体に合った改善が行えます。より効率的に痩せ体質になりたいという方は、こういうものを上手に活用していきましょう。
※遺伝子検査のため、いつ検査しても結果は変わりません。一生に一度の検査で大丈夫です。
※そのため、既に遺伝子検査を受けている人は2回目の申し込みは必要ありません。
この記事の監修者

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現役内科医・日本内科学会認定内科医
近畿大学医学部卒。2004年医師免許取得(医籍登録番号:第441704号)、2016年医学博士号取得