コレステロールを下げるのに効果的な運動方法とオススメ種目【医師監修】

コレステロールを下げる運動

「コレステロールを改善したい」
そう思った時にできることの1つが「運動」です。

実際、脂質異常症(LDLコレステロール140㎎/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満・中性脂肪値が150mg/dL以上)の場合に、運動療法は効果的であることが、厚生労働省によって情報提供されています。

脂質異常症治療の基本は運動療法と食事療法の生活習慣の改善と薬物治療があります。運動療法として、運動の頻度はできれば毎日、少なくとも週3日以上、運動量は30分以上、強度は最大酸素摂取量の約50%の有酸素運動が一般的に勧められています。運動療法により血中脂質の改善効果が得られ、脂質異常症を改善します。

-引用元脂質異常症を改善するための運動,厚生労働省

さて、ここには、

  1. 週3日以上
  2. 1回30分以上
  3. 最大酸素摂取量の約50%の負荷

の有酸素運動が効果的と書かれています。

しかし具体的な運動種目は示されていませんし、無酸素運動をしなくて良いわけでもありません。
また、「週3日」「1回30分以上」の運動をしてもなかなか思うようにいかない人も多いでしょう。

そこで、このページでは、
「コレステロールを下げる運動って何が効率的なの?」
「今、運動をしているけど結果が出ない」
という人に向けて、コレステロールを基準値内に改善していく運動方法を紹介していきます。

コレステロールを下げる運動は有酸素運動?無酸素運動?

コレステロールを下げる運動

運動には「有酸素運動」と「無酸素運動」の2種類に分けることができます。

有酸素運動は酸素を必要とする運動であり、ウォーキングやエアロバイク、縄跳びといった種目が当てはまります。
そして、私たちが行うほとんどの運動は「有酸素運動」です。

それに対して無酸素運動は「筋トレ」のような瞬間的な力が求められる運動です。
「長時間持続することのできない運動」は無酸素運動ですから、例えば短距離走も無酸素運動に分類されます。

そして、どちらがコレステロールを下げる運動に適しているか。
これについては厚生労働省の情報にもある通り「有酸素運動のほうが効果的」だと言われています。

なぜなら、有酸素運動の方が、コレステロールと関係している中性脂肪を効率的に燃焼することができるからです。
「有酸素運動をするか」「無酸素運動をするか」という二者択一であれば、「有酸素運動」を選ぶべきということです。

そこでまずは、コレステロールを下げるための「有酸素運動」を紹介します。

しかし、「無酸素運動」も必要だと言うのが当メディアの立場ですので、後半部分では、無酸素運動(筋トレ)の大切さと、効果のある無酸素運動についても紹介していきます。

コレステロールを下げるのに適した有酸素運動の20分ルール

有酸素運動の20分ルール

コレステロールを下げるのに有酸素運動が適しているのは、有酸素運動が体脂肪を燃やすからです。
これについて現役内科医にも聞いてみました。

浦和先生
運動開始後にまず使われるのが筋グリコーゲン(ブドウ糖の重合体)です。しかし、貯蔵量は少なくすぐに枯渇してきます。

その後、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンがブドウ糖に分解されて血液中に放出されエネルギー源として使われます。
これも貯蔵量は少ないので、脂肪細胞などから脂肪酸の形で血液中に放出され、筋肉組織に運ばれエネルギー源として使われます。

つまり、グリコーゲンがあるから20分までは脂肪はエネルギー源として使われにくいということです。

コレステロールを下げるには、よく「20分以上した方がいい」と言われています。
これは根拠のない話ではなく、20分以上運動した方が、脂肪がエネルギー源として使われやすくなるからです。

しかし、この「20分間の過ごし方」がとても重要なのです。

よく「有酸素運動で20分以上運動すると、脂肪が燃焼する割合が増える」と言われています。
有名な話のため「20分以上、連続して運動しないといけない」と思っている人も多いでしょう。

しかし、厚生労働省のHPではこのように記載されています。

20分以上運動しないと脂肪が燃焼してこないというようなことを耳にする方がいると思いますが、近年の研究成果から、1日に30分の運動を1回行なっても10分の運動を3回行なっても、両者の減量効果に差のないことが認められています。
つまり同じ運動であれば、その効果は総運動時間に対応するといえます。

引用元厚生労働省,メタボリックシンドローム改善のための運動

つまり「20分」は連続していなくても大丈夫です。
しかし、総運動時間に対応する=運動時間が長いほど減量しやすいですので、20分よりも30分、30分よりも1時間運動できる「体力」をつけていくと、良いでしょう。

無理な20分間、余裕のある20分間、どっちがいいのか?

無理な20分間、余裕のある20分間

「コレステロールを下げるには、20分以上の運動が好ましい」

そう分かると、
「ウォーキングよりランニングの方がいいだろう」
「負荷は高い方がいいだろう」
と、ハードな有酸素運動をしがちになります。

もちろんそうして頑張ることは素晴らしいことです。
しかし「激しければ良い」というわけではないのです。

コレステロールを下げるには「まだまだ余裕で歩ける20分」の方が効果的
このことは覚えておきましょう。

まだまだ続けられる有酸素運動の方が体脂肪が効率的に燃える理由

激しいランニングは呼吸を荒くします。
すると、浅い呼吸になってしまい、息が苦しくなってくると、無酸素運動に近い運動になってしまいます。

浦和先生
無酸素運動の割合が高いと、酸素を使用しない嫌気的解糖の割合が増えます。それによりエネルギー源を確保しますが、結果として乳酸が産生されてしまします。

体脂肪は燃えないわけではありません。
しかし、無酸素運動の割合が高いと、運動量に対しエネルギー源として脂肪が使われる割合が下がります。

私たちがマラソンランナーと同じスピードで走れば、多くの人は、無酸素運動になります。

持続できない運動は無酸素運動。
同じスピードで走れても数十秒しか持続できないのは無酸素運動の割合が増えている証拠です。

「頑張りすぎてもダメ」
これは有酸素運動をしているつもりでも、無酸素運動の割合が増えてしまうからです。

ですから「まだまだ歩ける20分間」「ゆっくりの有酸素運動」を心がけましょう。

「もっと効率的に有酸素運動をしたい」という場合は、「最大酸素摂取量」を向上させる「LSD」を行いましょう。LSDについては下記記事で紹介しています。

※別記事・該当部分にジャンプします。

一番効果がはやく出る、有酸素運動の心拍数とは?

有酸素運動の心拍数

しかし、だからといって「楽に歩きすぎる」のも問題です。

そこで紹介したいのが「一番脂肪が燃えやすい心拍数」です。
これは最大心拍数の60%~70%だと言われていますが、そもそも自分の最大心拍数は分からないことが多いため、「130前後」を意識してみましょう。

この「心拍数130」のイメージは、20分間歩くと汗ばんでくる、心臓がいつもと比べてドクドクしている、こういうイメージです。

歩くペースとしては、「ただ歩く」のではなく「早歩き」に近いですね。
普段の2倍の速さで「走る」のではなく「歩く」といったイメージでウォーキングをすると効果的です。

20分の有酸素運動はあくまでも「目安」です

ちなみに、この「20分」というのはあくまでも「目安」です。
ここまで「20分がいい」と言ってきた正確な真意としては、「目標があった方が続けやすいのではないか」ということで、20分をおすすめしているだけです。

なぜなら、この20分説は「嘘」だとも言われているからです。

しかし、だからと言ってこれ以上少なくてもいいというわけではありません。
むしろ、できるのであれば、20分以上した方が効率的にコレステロールを下げることができます。

また、ここで意識してほしいのは、通勤や通学などの普段の運動に、20分間は「プラス」しようということです。
そうすると自ずと1日の運動量は増えていきますので、さぼらずに「継続」していきましょう。

コレステロールを下げる有酸素運動の種目例

ここまで、「コレステロールを下げるための、効率的な有酸素運動の方法」について紹介してきました。

これを元にすれば、行う有酸素運動のどの種目でも問題ありません。

しかし、「有酸素運動にはどんな種目があるの?」と疑問を持つ方もいると思いますので、ここではおすすめな有酸素運動の種目を紹介したいと思います。

おすすめ種目1:ウォーキング

おすすめ種目1:ウォーキング

ウォーキングの良い所は、「いつでも」「どこでも」「気軽に」できるということです。道具も必要ありません。

また、「手を大きく動かす」「ペースを変える」ことで、体にかかる負荷を簡単に変えることができるのもメリットの1つです。

おすすめ種目2:水中歩行

おすすめ種目2:水中歩行

これは「プール」のある環境が必要になってきますが、特に「足」「腰」を痛めがちな人におすすめです。水の中は、関節などにかかる負荷なども少ないですので、ケガの心配も少なくなります。

さらに、ウォーキングと比べて、比較的高いカロリーを消費することも分かっています。もし今現在プール設備が備わっているジムに行っていれば、ぜひ有効活用してみましょう。

おすすめ種目3:階段>エレベーター

おすすめ種目3:階段>エレベーター

普段エレベーターを使っているのであれば、この機会に「階段」を使ってみることもおすすめです。

コレステロールを下げる運動として「踏み台昇降」が出されることもありますが、階段はある意味で「天然の踏み台昇降」ですし、普段のウォーキングでは使わない筋肉も使いますので、この機会にやってみてもいいでしょう。

【そこまで大差はない?!】
ここではおすすめの有酸素運動種目を3つ紹介しましたが、最終的には大差はないかと思います。それ以上に大切なことは「継続できるかどうか」です。

ウォーキングが継続できなさそうというのであれば、ジム代などのお金がかかるプールを使ってみてもいいでしょう。テレビを見ながら運動したいということであれば、踏み台昇降をすれば可能です。

このように「継続」を第一優先として、有酸素運動を取り入れていくことが、コレステロール値を下げることにつながっていきます。

コレステロールを下げるには無酸素運動(筋トレ)も大切

無酸素運動(筋トレ)も大切

コレステロールを下げる運動としては有酸素運動が大事だと言われますが、中には「無酸素運動は必要ない」と言う人もいます。
しかし、それは大きな間違いです。

筋トレは基礎代謝を上げます
車で言うと、排気量の大きい車になります。
そのため、何もしていない状態でのエネルギー消費量も上がり、より有酸素運動の効果を高めてくれます。

また、筋トレしないと筋肉は萎縮します。
そのため、基礎代謝も下がりがちになります。

「筋肉のあるマッチョになろう」
そういうわけではありませんが、「今の筋肉量を維持する」ためにも最低限の筋トレをするのがオススメです。

それでは、コレステロール値を下げたい人におすすめの無酸素運動を紹介していきます。

おすすめ種目1:プランク

まずやってほしいのがプランクという種目です。体幹トレーニングの1つで、お腹周りの筋肉をよく使います。

上記の動画では、プランクの正しいやり方とともに、「間違った方法」まで解説されており、プランク初心者の方でもプランクの正しい知識をつけることができる動画になっています。

おすすめ種目2:チューブトレーニング

次におすすめなのが「チューブ」を使ったトレーニングです。比較的負荷も軽く、初心者でも始めやすいという特徴を持っています。

「チューブが高いんじゃ・・・」と思うかもしれませんが、近所のホームセンターのプライベートブランドのものであれば1500円前後で手に入れることができます。

家でも気軽にできますし、場所もとりませんので、チューブトレーニングはおすすめです。

チューブトレーニングの方法については、画像の長友選手の本が参考になります。(画像はAmazonへのリンクになっています。)

筋トレをどこまでやるかは、あとは「好み」です

筋トレについては人それぞれ目指す方向が違い、それとともに「方法」も異なるものです。ですので、あとは「好み」でやってみてください。

また、筋トレ初心者であれば、できる限りジムに通い、トレーナーに指導してもらうことが最善だと感じています。

まとめ

それではこの記事も長くなってしまいましたので、ここでコレステロールを下げる運動の「まとめ」をしていきます。

  1. 激しい有酸素運動ではなく、余裕のある有酸素運動をしよう
  2. 有酸素運動は心拍数130前後を意識しよう(汗ばむ程度)
  3. 普段の生活に加えて、20分間以上、多めに運動をしよう
  4. 無酸素運動(筋トレ)も最低限行い、基礎代謝を維持しよう

簡単にまとめると以上の4つになります。

また、今回は紹介しませんでしたが、運動だけではコレステロールは下がりません。「適切な食生活」がかなり重要になってきます。

これについては下記記事

中性脂肪を下げる食事とは?今日から実践したい食生活の改善

2017.09.22

【内科医監修】血液をサラサラにする11の方法まとめ!オススメの食べ物や運動方法

2017.09.27

で詳しく紹介していますので、そちらも併せてお読みください。

特に「血液をサラサラにする方法をまとめてみた」では大切なことが多いですので、どちらから読もうか悩まれたら、下側の記事を読んでみてくださいね。

それではここまでお読みいただきありがとうございました。この記事があなたの運動の参考になっていれば幸いです。