DHAEPAは人間の体に欠かせない「必須脂肪酸」です。
「中性脂肪の薬・市販薬・ジェネリックの解説と副作用」の記事で紹介したように、EPAを主成分にしたエパデールなどの薬も存在しています。
有効性に関する研究が進んでいる栄養素です。
しかし、DHAEPAには具体的にどのような効果があるのでしょうか?
このページでは、内科医の浦和医師監修のもと、「DHAEPAに期待できる効果」についてまとめました。
それでは、いきましょう!
もくじ
DHA・EPAの9つの良い効果

ここでは、DHA・EPAの効果として有名な「中性脂肪」「コレステロール」に関わることから、目や炎症に関わることまで、9つの良い効果を紹介していきます。
- 中性脂肪値を下げる
- コレステロール値を下げる
- 血液サラサラ、血栓予防
- アレルギーの改善
- ストレスやイライラの改善
- 眼精疲労の改善や涙の質の向上、ドライアイ
- 美肌・ニキビ予防
- 持久力の向上
- 記憶力、判断力、認知症
効果1:中性脂肪値を下げる
DHA・EPAは中性脂肪値を下げることが分かっています。
体脂肪が減るとともに、血液状態も改善されます。
実際にDHA・EPAを摂取したグループとプラセボグループを比較すると、DHA・EPAを摂取したグループは、プラセボに比べて28%中性脂肪が減少したことが分かっています。
例えばDHAEPAサプリメントのイマークSのように臨床試験済のサプリメントもあり、「4週間で中性脂肪を20%下げる」という表記が可能な特定保健用食品も発売されています。
効果2:コレステロール値を下げる
DHA・EPAは中性脂肪とともに、コレステロール値も下げることが分かっています。
効果3:血液サラサラ、血栓予防
DHA・EPAには「血小板凝縮を抑える効果」もあることが分かっています。
過剰な血液の固まりを抑制し、適度に血液をサラサラにするはたらきがあります。
これによって、血栓ができることによって起こる「脳梗塞」「心筋梗塞」というリスクを減らすことができるほか、動脈硬化の予防にもなります。

効果4:アレルギーの改善
DHA・EPAには、アレルギーを促す酵素の働きを阻害することが分かっています。
花粉症やアトピー、ぜんそくや関節炎などの症状緩和に役立ちます。
特に「EPA」は、アレルギーによる炎症を抑える「プロスタグランジンE3(PGE3)」に変換されることが分かっており、アレルギーにも効果があると言われています。
効果5:ストレスやイライラの改善
特に「EPA」において、うつなどの精神状態を改善させる働きがあることが分かってきました。
これはハーバード大学の研究によるもので、リノール酸の摂取を控えさえEPAの原料となるαリノレン酸を摂取させたグループとそうでないグループを5年間追跡したところ、うつの発病に関して有意な差が現れたようです。
ただし別の研究ではこれを否定するものもあります。
DHAEPAのうつに対する有効性はまだまだ研究途上です。
効果6:眼精疲労の改善や涙の質の向上、ドライアイ
DHAを週5日以上摂取するグループは、週1日のグループよりも、ドライアイ発症率が60%以上低くなることが分かりました。
また、DHAは網膜の脂肪の60%を占める成分であるとともに、先ほど紹介した「血液改善」によって目の周りの血流も良くなることで、眼精疲労にも効果的であることが分かり始めています。
しかし、2018年に「効果がない」とする論文も発表され、DHAEPAの「ドライアイ対する有効性」は発展途上です。
効果7:美肌・ニキビ予防
先ほどDHA・EPAには、アレルギーを抑える働きがあることを紹介しました。
これは「抗炎症作用」があるということです。
ですので、肌の炎症である「ニキビ」や「皮膚炎」などの肌トラブルを防ぐ作用も期待できます。
実際にハリウッドの女優を見てみると、DHAなどのオメガ3脂肪酸を摂取している割合が多いことも分かっています。
効果8:持久力の向上
DHA・EPAには血液を正常な状態にすることを紹介しましたが、これによって、全身に酸素や栄養素がしっかり運ばれるようになります。
ですので、全身が酸素を必要とする「運動」のパフォーマンスの向上が期待されています。
効果9:記憶力、判断力、認知症
DHA・EPAは記憶力や判断力に良い影響を与えるとともに、認知症に対しても効果が期待できます。
脳機能に関与しているのは、DHAでEPAは脳への作用がないと思われている方も多いと思いますが、EPAは体内で一部DHAに変換されているので、EPAのみを摂取してもDHAを摂取している効果があります。
これはDHAが脳に多いこと=脳に重要であることや、脳の細胞膜を柔らかくしてシナプスを活性化すること、脳の伝達能力を向上させる働きがあることからも分かってきています。
※実際の動物実験においては、記憶力が向上することは実験によって明らかにされています。
また、ヒトにおいても、DHAを含む母乳で育てた子供と、そうでない子供の知能指数を比べたところ、有意な差が現れたという実験もあります。
DHA・EPAの効果をなぜ感じるのか?
このように様々な効果が期待できるDHA・EPAですが、実は摂取が「難しくない」栄養素です。
なぜならほとんどの魚に含まれているからです(代表的な魚に含まれているDHAEPA量はこちら)。
しかし、食の欧米化に伴って、魚食が減り、肉食が多くなりました。
昔は「毎日魚が当たり前」であったにもかかわらず、今では「魚を滅多に食べない」と言う人も増えてきました。
これによって、今までは「DHA・EPAを摂取しているのが当たり前」の状態から、「DHA・EPAが不足している」状態が当たり前になってきました。
その結果として、「メタボ」「中性脂肪・コレステロール値」「脳梗塞などの死亡リスク」などに影響が出てきています。
本当は、「DHA・EPAを毎日摂取している=DHA・EPAが十分補給できている=それ以上摂取しても効果が出ない」という状態が一番良いのですが、残念ながら現代人の多くはDHA・EPAが不足しているため、効果を感じる人が多いのです。
特に健康診断であまり良い数字ではなかった人や、普段魚食が少ない人、また、授乳期の女性の方などは、DHA・EPAを食事やサプリから効率的に摂取すると良いでしょう。
さいごに
今回は、DHA・EPAの9つの効果を紹介してきました。しかし、「1日の必要量」が摂取できていなければ、せっかくDHA・EPAを摂取しても意味がありませんので、1日の摂取目安と上限量を知っておくことも大切です。
また、「DHA・EPAを摂取すればすべてが解決する」というわけでもないことを知っておきましょう。
もちろん科学的にも実証されているのがDHA・EPAですが、「DHA・EPAを摂取すれば完璧だ」と思うのは危険だという事です。
特に「運動」は大切だと言われています。この運動についても、「がむしゃら」にやっても意味がないことが分かっていますので、下記記事で紹介しているような比較的「軽い」運動を始めてみましょう。
この記事の監修者

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現役内科医・日本内科学会認定内科医
近畿大学医学部卒。2004年医師免許取得(医籍登録番号:第441704号)、2016年医学博士号取得
その結果、アラキドン酸の代謝物質である、トロンボキサンA2という血小板凝集作用が強い物質の産生量が減ることで、血小板凝集を抑制していると考えられています。
さらに、血小板が凝集するための活性化は、トロンボキサンA2が血小板の膜にある受容体に結合する必要がありますが、EPAはその受容体に競合的に結合することにより、活性化できなくなり血小板凝集が抑制されます。
DHAを用いた試験報告はEPAと比較し少ないですが、DHAにも同様の作用機序が確認されており、血小板凝集を抑制します。