コレステロールが高い7つの原因って何?ストレスや遺伝、食生活との関係性【医師監修】

コレステロールが高い原因

「健康診断を受けたらLDLコレステロールが高かった」
そんな時に知りたいことの1つが「コレステロールが高くなる原因」です。

このページではなぜコレステロールが高くなるのか?原因は何なのか?という疑問について、医師監修のもと、考えられる7つのポイントを紹介していきます。

そもそもコレステロールは悪なのか?

コレステロールが高くなる原因を紹介する前に、最近のコレステロールに対する医学と厚生労働省の考え方について、大事なことなので紹介させてください。

斉藤先生
「コレステロールが高いこと」=「悪いこと」とは言い切れないんじゃ。

「コレステロールは高いとダメ」「LDLコレステロールは下げたほうが良い」など、一般的には「コレステロールが高いことは『悪』」だと認識されています。

なぜなら以前は食事に含まれるコレステロールが血中コレステロールに影響を与えると考えられていたためです。
そのため、コレステロールは制限すべきだとして、厚生労働省の日本人の食品摂取基準2010年度版では「上限値」が定められていました。

しかし、日本人の食事摂取基準2015年度版では、「コレステロールの食事摂取基準」が撤廃され、上限が廃止となりました。

  • 厚生労働省は「コレステロール摂取の上限値を算定するのに、十分な科学的根拠が得られなかったため」としています。
  • 日本脂質栄養学会の小林哲幸理事長も「さまざまな研究で、食事のコレステロールと血中濃度に因果関係がないことが明らかになってきた」としています。

では、国をあげてコレステロールは「そこまで重要ではない」という考えに変わってきたということなのでしょうか?これについて浦和医師にも聞いてみました。

浦和医師
血中コレステロールの7~8割は体内で作られます。食事の影響はもともと少ないのです。

そして、コレステロールの摂取量が多ければ肝臓で合成される量が減り、逆に摂取量が少なければ肝臓でたくさん作られる。
このように、血液中の量を体がコントロール(フィードバック機構)していることが分かっています。

浦和医師
つまり「重要ではない」のではなく、

  1. コレステロールは、体内でも合成され、相対的に食事から吸収される割合が低い。
  2. 摂取量が多い時は、肝臓での合成量が減り、血中濃度も一定に保とうとするフィードバック機構が働くため、食事のコレステロールと血中濃度に因果関係がない。
  3. コレステロールを含有する「食品」には、飽和脂肪酸も含まれており、コレステロール単独での摂取量の上限を決めるのに十分なデータがない

という理由で上限が撤廃されたのではないかと考えられます。

しかし、あくまで上限が撤廃されたのは食事からのコレステロールの摂取」についてです。
アメリカではコレステロールの基準値も撤廃されていますが、日本ではまだコレステロールの基準値が存在しています。

そして、健康診断のコレステロール値を見て、コレステロール値が高いと思ったら原因は知っておくべきですし知りたいもの。

それでは、長い前置きですみませんでした。
さっそく、コレステロールが高くなる7つの原因を紹介していきます。

コレステロールが高い7つの原因と大切な習慣

ここではコレステロールが高くなってしまう7つの原因を紹介していきます。当てはまるものがあれば、改善をして、改善した状態を「習慣」レベルにまで生活に落とし込んでいきましょう。


  1. コレステロールを多く含む食品を知り、制限する
  2. 中性脂肪値が高い
  3. 運動不足
  4. ストレス
  5. 喫煙・タバコ
  6. 遺伝と検査
  7. 他の病気による影響

原因と習慣①:コレステロールを多く含む食品を知り、制限する

原因1:コレステロールを多く含む食品

先ほど「食事のコレステロールと血中濃度に因果関係がない」と言われていることを紹介しましたが、「なぜ制限するの?」と思われた方もいると思います。

これについても浦和医師からこのようなアドバイスをいただきました。

浦和医師
確かに、食事からのコレステロールは、体内で合成される量もより少ないです。
また、食事からコレステロールを摂り過ぎたとしても体内での合成が減るだけだろうと思われがちです。

しかし、(遺伝性などは別ですが)コレステロールの血中濃度がフィードバック機構により完全にコントロールできているならば、世の中にコレステロールの高い人はいないはずです。

しかし、実際は、高コレステロール血症の方はおられます。
これは、慢性的にコレステロールを過剰摂取していると、体内での合成を極限まで抑えても食事由来の過剰なコレステロールが血中に存在するためと考えられます。

つまり長期的にみると、「食事のコレステロールと血中濃度に因果関係がない」とはっきり言いきれない可能性があります。

そして、食事からのコレステロールの上限は撤廃されましたが、コレステロールは脂質であり、カロリーがあります

例えばコレステロールが多い食べ物で有名な「卵」
卵には「卵黄」「卵白」がありますが、コレステロールの多くは「卵黄」に含まれていることが分かっており、カロリーに以下のような違いがあります。

卵黄 卵白
387kcal 47kcal

※それぞれ100gあたり

コレステロールの多い食べ物を食べ過ぎればカロリーオーバーになり、肥満に関連するリスクも高まります。

食事から摂取するコレステロールの上限はありませんが、やはり、コレステロール値が高い食品を「知り」「制限する」ことは大事だと言えるでしょう。

なお、「絶対摂取しないように」ということではありません。
食べ「過ぎ」に注意をしようということです。

下記に、コレステロールの高い食品一覧表を掲載しますので、これらを摂取した後には運動をしたり、翌日以降の食生活に気をつけたりしてみましょう。

するめ イクラ
420mg 980mg 480mg
鳥レバー 豚レバー ウニ
370mg 250mg 290mg
マヨネーズ(卵黄) マヨネーズ(全卵) クリーム
150mg 60mg 120mg
シュークリーム カスタードプリン ショートケーキ
250mg 140mg 150mg

※厚生労働省では摂取目安を廃止しましたが、廃止する前の摂取目安は男性750㎎、女性600㎎でした。また、コレステロール値が高い人は300㎎以下が推奨されていました。
※すべて100gあたりです

上記はコレステロールを高くする代表的な食事ですが、コレステロールは「冷えると固まる脂」に多いという特徴があります。

特に「肉系」「卵系」「乳脂肪系」にはコレステロールが多いことを覚えておきましょう。

過度に気にしすぎる必要もありませんが、「摂りすぎた」と感じたら、下記の記事を参考にしていただき、適切な運動をしてみましょう。

コレステロールを下げるのに効果的な運動方法とオススメ種目【医師監修】

2017.09.27

原因と習慣②:中性脂肪値が高い

原因②:中性脂肪値

コレステロール値が高くても、中性脂肪値が低い人もいます。

しかし、コレステロール値も高く、中性脂肪値も高いことの方が圧倒的に多く、この場合には善玉コレステロール(HDL)を減らしてしまっていますので、中性脂肪対策を優先的に行いましょう。

最初にお話ししたように、医学的にはコレステロールが高いことは大きな問題ではありません。
中性脂肪値が高いことの方がリスクが大きいということです。

下記記事を参考にしていただき、今日から中性脂肪対策を始めてみましょう。

中性脂肪値が300を超えたら・・・?赤信号を青信号にするためのガイド

2017.09.25

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原因と習慣③:運動不足

原因③:運動不足

運動不足は、悪玉コレステロール(LDL)が高まるとともに、中性脂肪値も高くなります。
結果として皮下脂肪や内臓脂肪も多くなり、血液状態も悪くなります。

動脈硬化に起因する、脳梗塞や心筋梗塞で死亡リスクも高まり、時には「心」にまで影響を及ぼします。

このように運動不足は様々なリスクを増大するため、大切だと言われています。

しかし、運動が大事だとは分かっていても、どんな運動が適切なのか?どれくらいの負荷をかけると良いのか?については多くが語られていません。

この場合も先ほど紹介した下記記事を読んでいただき、コレステロールを基準値内で維持するための「最低限の運動の方法」について知っておきましょう。

コレステロールを下げるのに効果的な運動方法とオススメ種目【医師監修】

2017.09.27

原因と習慣④:ストレス

原因④:ストレス

ストレスは心に影響するだけでなく、体にも影響することはご存知の方も多いと思いますが、ストレスは悪玉コレステロールを増やすということが分かっています。

もちろん悪玉コレステロールは「悪玉」と名はつくものの、体にとっては必要なものです。
しかし、やはり基準値内でないことはリスクが高い証拠ですので、できる限り「ストレスを減らす努力」をしてみましょう。

原因と習慣⑤:喫煙・タバコ

原因⑤:喫煙

タバコには、血中のLDL悪玉コレステロールを増加させ、HDL善玉コレステロールを減らしてしまうということが分かっています。

しかし、それは分かっていてもなかなか禁煙は難しいものです。心配になればなるほどタバコは吸いたくなりますし、まさに今吸いたくなったかもしれません。

タバコがやめられないのは、自分が悪いのではなく、タバコが悪いのです。ですので、この機会に禁煙外来などに行き、無理せず禁煙を目指してみてはいかがでしょうか。

原因と習慣⑥:遺伝と検査

原因6:遺伝

コレステロールを測る一番の目的は「家族性高コレステロール血症」という「遺伝の原因」がないかどうかを調べることです。

遺伝は様々な病気の原因となりますが、特に「家族性高コレステロール血症」の発症割合は200人に1人と比較的高く、この場合には適切な経過観察と運動療法、脂質低下薬などが必要になります。

原因と習慣⑦:他の病気による影響

「糖尿病」「甲状腺機能低下症」「ネフローゼ症候群」などといった病気が原因でコレステロール値が高くなることがあります。

すでに持病があり、経過観察・治療を行っている場合は良いのですが、最近健康診断に行っていない方や、検査していない臓器がある方は、この機会に全身の健康チェックをしてみましょう。

ここまでのポイント

①コレステロールが多い食品を知り、制限や対策をする
②中性脂肪値が高ければ、中性脂肪対策を優先的に行う
③運動不足を解消する
④ストレスをできる限り減らす
⑤禁煙する
⑥家族性高コレステロール血症の検査と治療を行う
⑦他の病気がないか検査する

コレステロールが高い原因を解消するために1番大事なこと

一番大事なのは継続とステップアップ

ここまでコレステロール値が高くなる7つの原因を紹介してきましたがいかがでしたか?

さて、コレステロールが高い原因の多くは「食生活」「運動不足」にあると言われています。これについてはこの記事を読む前から、誰もがなんとなくは感じていたのでは、と思います。

「外食が多くなったよな」「お菓子ついつい食べちゃうもんな」「運動する時間がないんだよな」そういう気持ちはあっても、改善する第一歩が踏み出せない。。。それが人間です。

ですので、まずは「できそうなこと」から「1つだけでも」初めてみましょう。そうして「体に良い習慣」を1つ1つ増やしていくこと、それを継続していくことが何より大切ではないでしょうか。

それでも「できる限り食生活は変えたくない」「運動もしたくない」という人もいるでしょう。その場合には、最低でもDHA・EPAの多い健康食品(トクホ「イマークS」や「きなり」など)を使って、最低限のケアをすることが大切です。